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横浜地方裁判所川崎支部 昭和55年(ヲ)245号 決定

申立人 嶌田勲

右申立人代理人弁護士 増田次郎

相手方 高木新太

主文

一  横浜地方裁判所川崎支部が、昭和五五年五月二〇日、同庁昭和五五年(ケ)第三九号不動産任意競売申立事件においてした不動産競売手続開始決定は、これを取り消し、右不動産任意競売申立を却下する。

二  本件異議申立費用は相手方の負担とする。

理由

一  申立人の申立の趣旨および理由は、別紙競売開始決定に対する異議申立書記載のとおりであり、本件異議申立事件および基本事件である前記不動産任意競売申立事件記録によれば、前記不動産競売開始決定に至る経緯について、右申立書記載の事実が一応認められる。

二  右事実によれば、相手方は本件建物につき本件根抵当権設定契約を原因として根抵当権設定登記をなしたが、未だ本登記手続を経由していないものであるから、本件根抵当権は、その後代物弁済により本件建物の所有権を取得し、所有権移転登記をなした申立人に対抗できないものと言わざるを得ない。

三  したがって、申立人の本件異議申立は理由があるからこれを認容し、右申立費用の負担に民事訴訟法第八九条を適用して主文のとおり決定する。

(裁判官 小池裕)

〈以下省略〉

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